南会津 三引山(1147.7m)焼山(1155m)大滝山 (1168.0m) 2013年3月17日

所要時間 5:59 林道入口−−6:45 尾根取付−−8:09 三引山(休憩) 8:14−−8:53 焼山(休憩) 9:15−−3町村界−−10:59 大滝山(休憩) 11:20−−11:40 井戸沢−−12:02 1040m峰−−12:23 1005m峰−−12:44 林道−−12:57 林道入口

場所福島県南会津郡下郷町/大沼郡昭和村
年月日2013年3月17日 残雪期日帰り
天候快晴
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場県道路側
登山道の有無たぶん無し
籔の有無残雪期は無し。無雪期は不明
危険個所の有無無し
山頂の展望樹林で各山頂とも良くない。標高1040m峰は展望良好
コメント 木地小屋集落を起点に時計回りに3山を「準」周回。倉骨沢沿いの林道は入口から雪に埋もれる。沢が大きく2又に分かれるところで沢に挟まれた尾根に取り付き、三引山まで尾根を辿る。山頂付近はなだらかな地形で読図が難しい。山頂は目印、山頂標識無しだが昨日のものと思われるスキーとスノーシュー跡があった。焼山までも特徴に乏しいなだらかな地形で注意が必要。町村界尾根を離れるところまで行けば尾根は明瞭。焼山山頂も目印皆無。大滝山までの町界尾根も屈曲が多くなだらかで難しい地形。スキー跡がずっと続いていた。地形図の表記では大滝山山頂の特定は難しいが、南側にある最高点の三角点峰とした。山頂には山頂標識は無かったが古い目印あり。地形図の破線が存在するか積雪のため不明。西尾根で井戸沢に下り、ショートカットのため1040m峰の尾根に登り、1005m峰から南西に下って倉骨沢ぞいの林道に下った。1005m峰の尾根で木地小屋集落まで下ってしまうと、最後は倉骨沢と土羅入沢に邪魔されて集落に上がれない。両方の沢とも水量多く渡渉不能。




林道入口近くの駐車余地を利用 ここから林道に取り付く
林道に乗る。完全に雪に埋もれる 標識もここまで埋もれる
橋もこの通り デブリが沢を埋める
唯一の堰堤 尾根取付の林道分岐
取り付きは法面気味で急斜面 尾根下部は唐松植林
標高890m付近 西道?と書いてあるような
標高1050m付近。新雪に自分の足跡が残る 標高1070m付近。踏み抜くようになりワカン装着
三引山直下の登り 三引山山頂。唐松+自然林が混じっている
北へ向かう 1100m鞍部付近
焼山へのなだらかな稜線 焼山山頂。ここも唐松+ブナで無国籍風
樹林の隙間から三引山 3町村界。東に向きを変える
スキー跡。たぶん昨日のもの 1110m標高点南のピーク付近
無雪期用目印? 標高1095m峰先で尾根が左に屈曲する場所
ここも尾根屈曲点 標高1050m鞍部から登りにかかる
大滝山へと緩やかに登る 横山西側の1353m峰
町界尾根を離れて三角点峰に向かう 僅かながら山頂へ向けて勾配あり
大滝山1168.0m三角点峰 目印あり
山頂を後にして西に向かう 1160m峰
西尾根は地面が出ている部分あり 1040m峰
尾根を外れて北斜面に入る 最後は急な谷を下る
井戸沢に出る 1040m峰のある尾根に上る谷を登る
1010m鞍部 1040m峰へ登る
1040m峰
1040m峰から見た大滝山三角点峰
1040m峰から見た男鹿山塊
この尾根も籔は少ないようだ 1000m峰〜1005m峰
最初の1000m峰への登り 尾根東側には雪庇が続く
1005m峰 1005m峰から西斜面を下る
斜面は杉植林帯 標高920m平坦地
標高860m付近 尾根末端まで行かず西斜面を下る
谷に出た この石を利用して渡渉
尾根上に林道があった デブリが押し寄せる個所で往路の林道に出た
尾根末端。危険はなく素直に尾根を下れば良かった 木地小屋集落に出た


 前日、横山と一緒に大滝山に登れなかったため、翌日に登ることにした。大滝山だけではもったいないので、西側の三引山とその北側の焼山も絡めることにする。雪の締りが期待できる南向きの尾根を利用するには起点は木地小屋集落が適当だろう。ただ、三引山と大滝山は倉骨沢と井戸沢の2本の沢で区切られていて、周回しようとすると起点と終点が離れてしまい。県道を延々と歩く必要が出てくる。そこで面倒ではあるが井戸沢右岸尾根を使うことにする。大滝山三角点峰から井戸沢に破線が降りているが、それが井戸沢に下りる場所から右岸尾根に登る。そうすればこの尾根を辿って木地小屋集落に戻れる。林道歩きが長い倉骨沢を朝の雪が締まった時間帯に歩くことにして時計回りの周回とした。

 林道入口は最初から雪に埋もれており、橋を渡った所に広い駐車余地があったので車はそこに置く。今朝も冷え込んで外は-4℃。昨夜雨が降ったので今日も良好な雪質が期待できるため、スノーシューはやめてワカンをザックに入れた。オーバースペックだろうかピッケルに12本爪アイゼンは毎度のごとく持って行く。今朝も快晴だ。

 予想通り倉骨沢沿いの林道は入口から除雪されておらず、雪壁を越えて畑のような平坦地に出て雪に埋もれた林道を辿る。道端の標識は柱の部分は雪に埋もれてしまっているので、積雪は1〜2m程度だろう。それでも林道の道形は判別可能で、川の右岸に沿って進んでいく。林道周囲のみ杉植林があるがまだ花粉は飛ばしていないようだ。気温はまだ-6℃。林道が左岸に移り右岸側の斜面が切り立ったところで雪崩跡があり、デブリが沢を埋めていた。桑取火沢は水量が多く、このようなスノーブリッジがないと対岸に渡るのは不可能だ。

 雪に埋もれた林道を歩くこと約45分、顕著な谷が右に分岐し、林道も右に分かれているらしい広い場所に到着、両方の沢に挟まれた尾根が登りに使う予定の尾根だ。末端は法面気味で最初は強引に登る必要がありそうだ。できるだけ傾斜が緩い部分を選んで斜面に取り付き、最初の20mくらいは緩んだ雪の急斜面を強引に登る。すぐに雪が締まって歩きやすくなり、カラマツ植林の尾根を進んでいく。この尾根は顕著で三引山に近づくまでは分岐や屈曲は無いので気楽に歩ける。昨夜は雨や雪だったがこの付近だと雨だったらしく、枝に付いた水滴は凍っていた。

 高度が上がって傾斜が緩むと同時に尾根の幅が広がり、山頂が近くなった雰囲気が出てくる。いやらしいことに地形図をみると山頂付近は丘のようななだらかな稜線が連なっていて、今な登りだからまだいいが下りでは読図が難しい地形だ。ガスられたりしたらGPSが無いと相当不安になるだろう。傾斜が無くなると雪質が悪化、つぼ足だと数cmだが踏み抜くようになり、せっかくだからとワカンを装着。今回は昨日の雪質からしてスノーシューではなくワカンを背負ってきたのだった。今日はワカンでも十分効果を発揮、踏み抜きは無くなった。たった数cmの踏み抜きでも回数を重ねれば体力を奪われる。踏み抜きではなく通常のラッセルならまだマシなのだが。

 地形図を見ながら太陽の位置関係で方向を定めながら進んでいく。植生は基本的にカラマツ植林なのだが、ほとんど手入れされていないようでブナやミズナラ等の落葉広葉樹がかなり入り込んでいて、雪国らしからぬ妙な雰囲気であった。

 ようやく三引山南西側に到着、最後に今までより明瞭な登りが待っていて三引山山頂部の一角に到着、ここも相当平坦であり現在地を特定して読図しないと三引山三角点を探すのは不可能だ。地図を読んだ結果、三角点は東にあるはずと進んでいき、僅かに登ってその先は尾根が左に曲がって緩やかに下る場所に到着。ここが最高点に間違いない。しかし山頂標識はおろかテープ等の目印さえ無い。積雪で三角点も測量棒も確認できず、航空測量用の白板もない。こんな時こそGPSの出番で電源を入れて現在位置を確認すると間違いなく三引山三角点であった。まさか何の目印もない場所だったとは。帰ってからネットで検索したら登山記録は皆無、山スキーの記録もなかった。もっとも、この緩い地形ではスキーを使ってもほとんど滑らないだろうし、樹林帯が続くので斜面でも快適に滑るのは無理だ。無雪期を含めて登山記録がないので、やっぱり藪に覆われた山のだろう。周囲は植林と広葉樹の混合林に覆われて展望は無かった。

 さて、この先はしばらく広い稜線歩きが続くので気が抜けない。まずは焼山を目指す。ここは稜線を北上し、三町村境界峰を通過して、その次のピークで北西に延びる尾根に入る必要がある。地形図を見ても周囲は緩斜面ばかりだ。うまく読図できるだろうか。ダメなら最終兵器のGPSの登場となる。

 ルートは最初から外れてしまった。北上したのはいいがまっすぐ北に下ったら稜線より西側に出てしまった。緩斜面なので損した標高差は大したことはないが。広い谷を北上、色気を出して次のピークはこのまま西を巻こうと考えたが、あまりに緩斜面で稜線を外すとピークがどこなのか把握不可能で、ちょっと歩いて稜線に戻った。そこは三町村境界ピークを越えたところだった。僅かに鞍部に下り、次の緩いピークで左斜め前に進む感じのルートをとる。僅かに尾根地形になっているので思ったよりも判断に苦しまずに済んだ。あとはそのまま尾根を辿っていくだけ。ここもカラマツ植林に広葉樹が混じった無国籍風樹林だった。

 緩やかな尾根の突端まで歩き、その先は下りが始まるところが焼山山頂だった。標識、目印一切無し。ほとんど訪問者はいないようだ。明るい樹林を通してちょっとだけ周囲が見渡せる程度。ここまで休憩無しだったので、日当たりのいい場所で休憩。今日は風もなく穏やかだ。

 復路は尾根を正確に辿り、三町村境界ピークから少し南下したところで東に進路を変える。ここも分岐が分かるか心配だったが、思ったより読図可能だった。そして町界尾根に乗ると薄く新雪に覆われたスキー跡とスノーシュー跡登場。たぶん昨日のものだろう。残雪期限定だがこんなところを歩く人もいるようだ。しかし、こんな緩い地形ばかりで樹林が生えた稜線ではスキーを使うメリットはあまり無さそうだ。特に今のシーズンは雪が締まりだしているので、スキーほどの浮力も不要だし。

 この町界稜線も単純な尾根ではなく、何か所も屈曲があって気が抜けない。スキーがどこに向かっているのか不明なのでスキー跡を追ったのでは危険で、尾根が分岐する個所ではいちいち地形図を広げて進行方向を確認した。あいまいな地形が続くが、そこまでのアップダウンや尾根の曲がり方を記憶していれば意外に読図ができ、曲がる場所でもさほど悩まずに済んだ。杉植林が混じって周囲の視界が制限されるが、先の地形を見なくても正しい判断ができた。最低鞍部手前では何度も屈曲していやらしいがそれもクリア、鞍部から大滝山への登りにかかればもう不安は無い。山頂まで登ればいいだけだ。

 最初は傾斜がそこそこきつく広い尾根だが、高度が上がると尾根が収束して傾斜も緩んでくる。完全に水平になったところが町界尾根と三角点峰の分岐個所で、スキー跡は町界尾根を進んでいた。こちらは進路を南に変える。ここには特に目印等は無かった。

 カラマツ植林の中を緩やかに登っていき、最後は左右に広がった山頂部に到着。南側は急激に高度が下がるので間違いないが、念のためにGPSの電源を入れて確認、三角点位置に間違いなかった。山頂標識皆無だが、立ち木に古い目印テープが巻かれ、木の幹には雪面ぎりぎりに赤ペイントが見られた。地形図だと井戸沢からこのピークまで破線が描かれているが、実際に夏道が存在するのか? 今は1,2mの雪の下で確認不能だ。でもネットで大滝山の検索をかけても山スキーの記録が数件ヒットするだけで、無雪期に登る人はノラさんくらいなものだろう。標高は1300m以下だが藪はどうだろうか。これで植生がミズナラ、コナラだったら藪がない可能性が高いが、関東の経験ではカラマツ植林はなぜか笹と相性がいい。ここも深い笹藪の可能性はある。

 少々休憩してから下山開始。休憩中に地形図を見てあらためて下山ルートを確認。ループを効率よく組むために(道路歩きの距離を短縮するため)大滝山から南に延びる尾根ではなく、井戸沢右岸尾根を使う予定だ。一度井戸沢に降りて右岸尾根に登り返す必要があるが、道路歩きが完全カットできるのが大きなメリットだ。当初計画ではこの尾根を南下し、木地小屋集落近くに落ちる枝尾根で集落に出る計画だった。しかしここにきて重大な見落としを発見してしまった。尾根を下った先には??沢が流れていて、往路で見た限りでは川幅、水量とも多く橋が無ければ渡るのは不可能な状況だったのだ。では県道に出たらどうかというと、県道に出るためにはもっと大きな??川を渡る必要があり、これまた渡渉不可能。これでは集落が目の前なのにどうすることもできない。

 しょうがないので計画を変更し、井戸沢右岸尾根を1005m峰まで南下、そこから西に延びる尾根に乗って林道が倉骨沢左岸にある場所に出ようと考えた。問題は林道に合流する手前に沢があり、それを渡れるかどうかだ。復路をここにするのが予め分かっていれば往路で林道に降りる場所がどんな地形か確認できたのだが、そんなことは考えていなかったので沢の大きさ、深さは全く覚えていない。地形図では沢の標高差はさほど無いように見えるが奥まで切れ込んでいて、両岸は崖の可能性がある。ここを渡れないと上流まで遡って安全個所を探して渡ることになるが、地形図では少し上流側は傾斜が緩く大丈夫そうに見える。尾根末端まで行かず北側にずれて下り、沢を早めに渡った方がいいだろう。

 帰路の基本方針が決まって出発。西隣の1160m峰に登り、杉植林の境界の西尾根を下っていく。末端まで下ると下り過ぎなので手前で北斜面に入って最後は急な谷を下って井戸沢に降り立つ。今は積雪で沢は埋もれている。向かいの尾根の登りに利用する小さな谷は目の前にあり、それに取りつく。しかし雪の段差があって谷の中は登りにくく、左手の急斜面をジグザグに登ることにした。東斜面で日当たりがいいようで、気温が上がったこの時間帯はワカンでも踏み抜くことが多い。段差では足元の雪が崩れて足場が決まらず、ピッケルや立ち木を動員してクリアする。

 やっと傾斜が緩むと1010m鞍部は近い。鞍部に上がって稜線を1040m峰へと登り返す。ピークのてっぺんは大きな立ち木が無く東側の展望が良好。これから向かう尾根の様子もよく見えている。雪庇が発達していて藪の心配はなさそうだ。尾根を南下すると雪庇ができていても尾根の西側は地面が出ているところもあるが藪は薄そうだ。一度大きく下って標高990m付近に達すると僅かなアップダウンの平坦な尾根に変わり、雪庇の上を歩いたり地面の上を歩いたりしつつ進んでいく。時々西側斜面を見て目的の尾根の位置を確認、らしき尾根を視認することができた。

 平坦な尾根なので標高1005m峰の位置を確認するのが難しいが、それより先で大きく標高が落ちる場所が1005m峰なので、ピークの少し先まで行って標高が落ちることを確認して正確な位置を特定。目的の尾根は稜線直下ではまだ姿を現さず、少し下ってから尾根が出現するため、最初はただの斜面を下ることになる。方向は要注意だ。

 西斜面は杉の植林で先はあまり見えないので920m肩をを確認することはできず、真下ではなくやや右寄りに下っていく。やがて杉林を通して平坦地が見えてきて無事着地、ここも植林だ。尾根は左の方向にあるはずでそちらに向かうと右側の斜面は杉植林、左側は落葉樹林の明瞭な尾根に変わった。これで一安心。ただ、末端までいくと沢を渡れるか不安なので、途中で右手に下る必要がある。

 尾根に従って下っていって右側の斜面下部に植林を通して谷が見えうようになってから尾根を外れて北斜面を下る。最後はそこそこ急な斜面となったが微小尾根を通ってクリア、谷左岸の平坦地に降り立った。心配していた沢だが水量は多くなく川幅もさほど広くなかったし、岸は崖ではなかった。これなら安心して渡れる。ただ、跨いで対岸に渡れるほど川幅が狭いわけではなく、沢の中に飛び石がある個所を探して渡った。

 僅かに登って小さな尾根上に出ると地形図に書かれていない雪に埋もれた林道が登場。倉骨沢沿いの林道につながっているはずだがショートカットで尾根を下ると往路でも見たデブリのある場所で林道に合流した。僅かに下流側に下ると下ってきた尾根の末端が登場、あのまま下っても安全に降りられる地形だった。ちょっとだけ損したかな。

 あとは林道を歩くだけ。気温が上がって往路より雪が緩んで潜るが、ワカンの効果もあって大きな踏み抜きはなかった。杉花粉の恐怖があったが、まだ派手には飛ばしていないようで僅かに目に感じるだけだった。最後に雪壁を下って県道へ。今日も十分に残雪を堪能できた。

 

 

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